1月7日の朝、七草粥を食べますか?
1月4日に仕事初め、ということで新年になってから準備する場合もありますよね。
春の七草と言えば、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、と覚えていますが、この七種類を用意しますか?
スズナは蕪、スズシロは大根のことですが、その他の五種類は畑のあぜ道や水路の脇などで見ることができますね。生えているのを採ってきて食べることができる草です。
七草は年末から正月の時期だけは、スーパーマーケットでパックされたり、フリーズドライとして売られているのを見たりしますよね。
1月7日に七草粥を食べるのは、正月のごちそうで疲れた胃を休ませるためとマスコミ等で紹介されているのを目にすることがあると思います。本当でしょうか?
そこで、七草粥を食べるのは何故1月7日なのか、七草は春の七草で良いのか、を検証してみました。
2021年七草粥のために用意するもの
春の七草は前述した通り、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロですよね。漢字にすると、芹、薺、御形、繁縷、仏の座、菘、蘿蔔。
あ、そうそう、ホトケノザというのは、コオニタビラコ(キク科の植物)のことです。淡い紫色の花が咲くホトケノザのことではないのでまぎらわしいですよね。
大根(スズシロ)、蕪(スズナ)以外の五種類の草は畑や野道に生えていますが、栽培することもできるので、スーパーマーケットで売られているものは、すべて栽培されたものではないかと想像しています。
昔からの風習であれば、寒い季節にこれらの草はあまり成長しないのではないか と思いませんか?
太陰暦では、2021年2月12日が元日です。この頃になると草も若芽を出してくるので、野生の七草を揃えることができそうですね。雪深い地方にお住まいだと難しいかもしれませんが。
七草粥の由来
七草粥を食べ始めたきっかけは、中国の風習からということが定説になっているようです。
正月の1日は鶏、2日は狗、3日は猪、4日は羊、5日は丑、6日は午、7日は人の日としてそれぞれの占いをし、8日に穀を占っていたようです。
人の日には、人を大切にするということで、冬に少なくなる緑の葉を食べて無病息災を祈りました。
また、中国唐の時代には、1月7日には官吏の昇進試験が行われていて、朝に七種菜羹(ななしゅさいのかん)といって、七種類の葉物が入った汁を食して立身出世を願ったということもあったようです。
日本は万葉集の時代には既に若菜摘みの風習があったので、中国の風習と合わせて七草粥を食べることが広まっていったと考えられています。
明日よりは 春菜摘まむと 標めし野に 昨日も今日も 雪は振りつつ
山部 赤人(万葉集より)
江戸時代には、1月7日を人日(じんじつ)の節句として公的な行事とされていました。
次第に庶民にも七草粥を食べることが広まっていったと想像できます。
現在は白米を食べることが普通になっていますが、白米で粥をつくるようになったのは、そんなに前の時代ではなかったのではないでしょうか?
第二次世界大戦が終わった頃の日本では、食べるものがなく、1950年時点でさえ、”貧乏な人は麦を食べ、金持ちは米を食べる”状況であったので、七草粥が白米の粥であったと想像するのは難しいことです。
粟(あわ)、稗(ひえ)、黍(きび)などの穀類の入った汁物のような粥に草の若芽を入れて、一年の健康を祈願したと考えることはできますよね。
さて、ではセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロが選ばれたのはどうしてでしょうか?何らかの効果があると信じられているか、調べてみましょう。
草の名前 | 効能 |
---|---|
セリ | 解熱、貧血、口臭 |
ナズナ | 干して煎じて便秘、利尿、目の痛みや充血、高血圧 |
ゴギョウ | 咳、痰 |
ハコベラ | はれもの、歯茎の出血・歯槽膿漏、 |
ホトケノザ |
身近な山野草のすべて(三興出版)よりの抜粋
野草として上記のような使われ方をしていることがわかりました。どうやら、「これでなければならない」ということではなく、身近にあって採りやすい若芽であったためのようですね。
大根(スズシロ)、蕪(スズナ)は、ジアスターゼ(炭水化物を分解する酵素)を含むことから、消化を助けてくれる効果が期待されます。
どちらも、葉の部分に繊維質が多く、緑黄色野菜としてのビタミン類、繊維質を多く含んでいます。七草粥には、葉も入れてますか?
まとめ
1月7日に、七草粥を食べることについての由来と七草について検証してきました。
わかったことは、
- 1月7日は、人日の節句なので、冬に不足する緑黄色野菜を摂ることによって無病息災を願ったこと。
- 中国の風習から、立身出世を願ったこと。
- セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザは、身近にあって若芽を採りやすかったこと。
一年の始まりとして、心身を労りながらも日々の活力としようとした先人たちの気持ちが伝わってきます。
栽培されたものではありますが、七草を揃えることができます!
七草粥をいただきましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。